牛と臼と、休日の高尾山。

 

 休日の朝も早起き。車で逆・都会方面へと向かいます。目的地は「高尾山」小学校の遠足以来です。しかし、思うようにはいかず、環七に入ってすぐに車は詰まり気味。なんと甲州街道の遠かったことか。

 

 前回、甲州街道を通ったのは、昨年の春。一面雪景色の軽井沢から、韮崎の知人に会いに行った帰りです。季節外れの、みぞれ混じりの雪に大垂水峠では多少難儀しましたが、夕方前に東京へ着きました。知人宅でごちそうになった、山椒のよく聞いたプロ級の手づくり麻婆豆腐。炊き立てのご飯と出してくれたところなどは、さすがはアーチスト、相手の心を見事に読んでいます。

 

 その、甲州街道をどんどん西へと進みます。前回通った反対側の道の景色を思い出しながら走りましたが、なかなか記憶が起き上がってきません。頼みのGoogle mapも「あっちむいて、ほい!」味の素スタジアムまではそれでも順調にいきました。

 

 もとより、勘働きも当たりはずれが多く、ほぼ外れ七割、土地勘もないぼくですから、東京の高尾山に向かっているときに「相模湖」なんてのが出てくると、あれれ?「なんでこんなところまで…」と、なってしまう有様です。

 

 何度か間違えながらも、高尾山につきます。最後は、目標にしていた駐車場を通り過ぎてしまい、戻ってくるのに一苦労、というおまけ付きで。

 

 さて、高尾山。何しろ小学校以来なので、何も覚えていません。それらしい商店街が並ぶ、参道入り口のメインストリートを上がり、ロープウェーの出発駅。周りの人達は、私服の人も含め、やや、軽装で歩いています。

 

 わかりやすいようで、今一つよくわからない地図を見て、とりあえず、登りだします。かなり急な坂道を2㎞ほど上がると、先ほどのロープウェーの到着駅。そこから、道は平たんになり、多少のアップダウンはありますが、そのまま頂上です。ちょうど、ロープウェーの駅が全行程の半分くらいのところに位置します。

 

 ばるほど、麓からロープウェーを使うと、頂上まではほとんど上り下りなしで行けるようです。料金は片道¥490、車内アナウンスでは「日本一急こう配のロープウェー」「ただいまもう一台のロープウェーとすれ違います」などと案内してくれます。ここでも、英語アナウンス付き。外国人の皆さんも多数来ていました。

 

 高尾山の標高は599m、軽井沢が約1000mなので「この倍程度だったら碓氷峠も行けるんじゃないかな?」などとぬるい気持ちで、山頂から富士山を眺めます。天気にも恵まれ、都内市街地よりもワンサイズ大きな富士山。くっきりと浮かびあがる。

 

 ここまでの道のりで、記憶にあったものはすでになにもありませんでした。山頂に立ち、思ったことは、たしかに、ぼくが小さい頃は、練馬からも「大きく見える富士山があった」ということです。この距離で富士山を見たのも何十年ぶりなので、いささかあやふやな記憶ですが、この大きさの富士山「見たことある」。

 

 どこかで、脳が勘違いして、ぼくに無責任ないたずらをしているのか、それにしても、この富士山を、練馬からではないとしたら、ぼくはどこで見たんだろう?

 

 去年まで通勤していた中央線は、阿佐ヶ谷駅の近くになると、天気のいい朝は、きれいな富士山が見えます。しかし、ここからの富士山は都会から見える一般的なサイズ。それでも、退屈だった通勤電車の中、ここから富士山が見えるとわかってからは、晴れに日の通勤に楽しみができました。

 

 富士山を見て「うっし!」となる気持ちは、不思議なものです。軽井沢に住んでいたころに、毎日のように浅間山を見て暮らしていましたが、こちら浅間山は「うっす!」です。毎日見ている、いない、の差なのか、距離からなのか。

 

 6時半に出発して、練馬15時着。帰りは行きより渋滞は少なく、寒かった高尾山から暖かい車内で、家人たちはひと眠り。もう年なのか?「日帰りプチ旅行は、明るいうち着に限る」が、このところの定番です。

 

・お坊さんが受付する、国道沿い駐車場のレシート(の、ようなもの)

    お願い

   山内整備費として御協賛ください。

   一金五百円以上

           高尾山奉讃事務局

 

 ・昼ころに「ご予約なしでも、お食事できる「精進料理」5品セットで¥1900です」

  というアナウンスが流れます。

 

  PS:タバコ、吸うところ見つかりませんでした。