とーや、スーパーで売られている物について考える。

 

 

 よく話す親しい友人がいます。彼は流通に詳しく、一般消費者の知らない、世の中の流れについて、いろいろ教えてくれます。

 

 スーパーの朝。開店前、大量の荷物が搬入口に届く。発泡スチロールの箱に段ボール、輸送用プラケース。生鮮商品や冷凍品、野菜…。それらを受け取る従業員に続いて、海産部や、精肉部の従業員も出勤し、一斉にパック詰めが開始されていきます。

 

 たとえば、海産部門。定番のアジやサバ、季節のカレイやタラ、ホッケにイナダ、解凍のサンマ。刺身用の凍ったサク、これらをパック詰めにするため、お湯に入れ解凍してから、さばいていくわけですが、自営レストラン上がりのぼくとしては、あまりにも、廃棄する部分が多いということが、どうにもスカッとしません。

 

 主に、商品になるのは3枚におろした身の部分だけで、頭やあらなどは、ブリやタイ、サケのように一部例外はあるものの、ほぼ、廃棄です。日々、ゴミ箱にたまる廃棄食材は“バケツ1杯”どころの量ではありません。スーパーに隣接して、もしくは直営のレストランでも合わせて併設すれば、素敵なお店がたくさんできるはずです。

 

 スーパーは、企業経営理念に覆われていて、仕入れから人件費まで細かな計算がされています。にもかかわらず、これだけのゴミを出していては、大量販売にその量のゴミはつきものと考えても、どこか手直しが必要だと痛感します。

 

 店内の放送で「お魚コーナーでは~」「今が旬の〇〇」「今日のお勧めは〇〇、100グラム当たり〇〇円」野菜売り場、ベーカリー、精肉部門、お惣菜、日がな一日中連呼して。

 

 企業としてのスーパーには難しいでしょうが、ぼくの理想の魚屋とはこうです。

 

 魚は丸のまま、売り場に並べられ、お客さんは魚を選ぶだけ。そして、スタッフが要望どうりにその場で魚をさばく。ウロコとって、エラワタとって~刺身の状態まで、要望に応じて。頭やアラは不要な人もいるでしょう。同じ売り場に、魚と一緒に展示して「ご自由にお取りください」と。

 

 魚のアラや鶏がら、牛スジなどは、家庭でさっと湯通ししたり、脂を落としたり、きれいに掃除すれば立派な食材。みなさんこれを持ち帰るようになると、料理のスキルもどんどん上がっていきます。

 

 加工部門の作業スペースでは、半分以上を、パッケージ用の機械や、プラスチックトレイが占めています。これらはすべて、お客さんが購入後、家について開封時、すぐに捨てられてしまうものです。

 

 パッケージ有料。ただし、〇〇円以上お買い上げの方は、無料。

 

 お刺身パックを買うと、かならず、大根のつま、大葉、ニンジンのつま、あたりがついています。これ、すべて食用ですが、みなさん食べていますか?つま用大根の仕入れ量は大量です。大きなゴミ袋大の袋がいくつも。これが、捨てられるために作られているとなれば、やはり、スカッとしません。

 

 つま有料。ただし、〇〇円以上お買い上げの方は、無料。

 

 当然、こういった生の食材を提供する販売方法になると、保健所がいろいろと指導してくるでしょうが、こういった、ある意味“無駄”とも思える法規制には、受難な対応ができるようにシステムを改善するべきです。

 

 肉屋と八百屋も並びに出店。パン屋もあればなおいいでしょう。この各店舗から出る、スーパーでいうところの廃棄食材。これは、古くて売り物にならなくなったものではなく、その日入荷したものの、下処理の段階で出る廃棄部分。

 

 食材はもちろんのこと、野菜くずや、肉の筋など、レストランの仕込みには必要不可欠の材料が、卸価格、または、無料で入荷できるので、価格も安く設定できる。浮いた部分を人件費として、料理人やスタッフに還元する。携わる人すべて充実感があり、そんなスタッフが接するので、お客さんも喜ぶ。かつ、必要最小限のゴミしか出ない。

 

 となりには直営のレストラン。和食、洋食、イタリアン、ベーカリー&スイーツ、買った魚もそこで調理できる。

 

 刺身、海鮮丼、すし、そば、アジフライ定食、からあげ定食、ハンバーグ、ステーキ、ペスカトーレマルゲリータ、サンドイッチ、ティラミスにモンブラン…。

 

 ついでに、生ビール、ワイン、日本酒、テキーラ…、スムージ、タピオカ、ナタデココにノンアルビール。

 

 郊外であれば、毎回アッシーくんのおとうさん(おかあさん)のために、駐車所にはタクシー、運転代行常駐。ご近所のお年寄りには、ご自宅まで無料送迎、ま、送りだけでも。

 

 大量仕入れ&大量販売、見栄えのための過剰包装。便宜さを追求した流通パッケージ。膨れ上がり続ける企業スーパーの陰で、たくさんの「捨てられる食材」が泣いています。

 

 そそのかされるままに、ホイホイと買ってしまう消費者サイドにも問題があり「食材を大切に扱っている」という共通の意識のもとに、そういうお店を選ぶ。お客さんが来なければ、販売店もやり方を変えなくてはやっていけません。お客さんが販売店を育てる。その国も民度も格段に上がっていきます。

 

 食の基本的なとらえ方が、どんどん骨太になっていって、すべての、あらゆる生活文化が質に沿った、商業ルートに乗らない体質になり、国民の意思が流通をリードする。世界からは「日本ではそのやり方は通用しない」と、いわれるような。

 

 恵方巻、バレンタイン、土用のウナギ、大根のつま、冬のイチゴにハローウィン

 

 日本の“お家芸”でもある、物を大切に扱う、ゴミを出さない暮らし、春には春の、秋には秋の、その時の食材でおなかを満たす。冬にキュウリがなくても、暮らしに支障はありません。

 

 夏に作ったうめぼしが、残りわずかとなった今日、このごろ。イナダのあら煮をつまみながら、とーやは考えるのでありました。

 

 早く、梅、咲かないかなぁ~、と。

 

 *とーや=我が家での(おとうさん・オヤジという意味の)わたしの呼ばれ方です。