暮れとサバンナ

 昨日あたりから、徐々に都内を走る車の台数は減っていき、マンション前の大通りを見ていると、きれいに洗車された車が増えました。新年を迎える準備が着々と進んでいるようです。スーパーでは「おせち」「年越しそば」「おもち」などと、紅白の垂れ幕に書かれた正月商戦の真っ只中。特に生鮮野菜部門は市場の年末年始休みのために仕入れた食材をさばくのに必死。市場が休みに入り、魚はすべて切り身売りに、残念。

 

 暮れ、正月とは関係ないこの辺のカラスは、おしゃれでいつもクチバシを手入れする。右、左。右、左、と。そして、必ず水場へ行き、さらに右左右左、と。生きていくために自身の身体を入念にメンテ。

 

 駅前の素敵な酒屋でワインを買って、3人がかりでおいしい料理を作り、きちんとテーブルセッティングをして、気持ちのいい夕食をした。できのいいテキーラでしめる。

 

 88年、初めてブラジルへ行ったときに、縦に伸びる虹を見た。帰国後「そんなわけない!」と、皆が信じなかった。夕食後の「ダーヴィンが来た」は、アフリカのサバンナ。悠々と歩く6トンの象。顔は傷だらけでも堂々とした200Kgの雄ライオン。5メートルのキリン。地上20メートルでおいしそうに食事をする180Kgのゴリラ。あれから30年近くたって、自分でも自信がなくなってきたが、テレビのサバンナには、くっきりと「縦に伸びる虹」が映っていた!

 

 エジプトの墓が開けられる。その瞬間をTV発放送!2時間たっても、まだ開かない。たぶん、開くのは、来年の大晦日だろう。

 

 「戦力外通告」を受けた野球選手が携帯とにらめっこ。人生いろいろだけれども、奥さんや家族、恩師をひっぱり出して盛り上げているものの、皆同じ顔に見える。数週間前に、同じ通告を受けたぼくは、彼らほど思い悩んで(いるふりはして)いない。

 

 年末こそ、当日はテレビ中継もなかった「10,19、ロッテ・近鉄戦」でも再放送してくれたら!

 

 折角いい気分だったのに、開かない墓と、戦力外通告のBGVで、腑抜けな無駄時間を過ごてしまった。せめて、フライングヒューマノイドや、電柱の陰から出てくる宇宙人の再放送でもしてくれたらよかったんだけど…!ここは吉村教授じゃなくて、矢追純一先生で!

 

   「不平不満を言うなら鏡の前に立って見ろ。

    そこにいることを選んだのは、お前だ。」

 

 仮にサバンナにテレビがあって、シマウマやヌー、木の実やフルーツが映っていたとしても、みなさん「チラっ」と一瞬、見るだけで、そのまま見向きもしないで通り過ぎていくよね。2時間たっても開かない墓のふたの前で、携帯片手に「スフィンクス」などをググっていた(間抜け男)が、今、鏡の前に立っています。