「電話が鳴って、テキーラを飲む」という素敵な夜。

 

 車を売ろうと思い、ネットでポチっとする。間髪を入れずに、じゃんじゃん電話がかかってくる。大変だった。ぼくの携帯はまさに自他共に認める「鳴らずの電話」で、めったに着信がないところに、ひっきりなしにかかってくるので、電源を切る始末。

 

 とはいえ、車は売りたいので、ほとぼりが冷めたころにもう一度。今度は、買取会社にピンポイントで連絡しました。それでも、買取会社のサイトから、うっかりクリックしたところが「査定サービス」のようなところで、再び着信アリ

 

 ぼくの車は2002年製の古い車。今はもう懐かしい日韓ワールドカップの年。で、一体いくらなのか。

 

・年式&車種は?

・車の色は

・目立つ傷はあるか?

・走行距離は?

・車検は?

・カーナビがついているか?

・シートは皮製か?

 

 買取会社からは、大体こんなことを聞かれ…、折り返し連絡します、と。

 

 数分後に連絡があり、分かったことは、大体これくらいです。あとは実車を見て査定金額を決める、という流れになりました。

 

 残念な結論ですが、あまりに安いので、心は、次の車検まで乗ることにしました。やはり何年も乗った車というのは、何か愛着が沸いてしまい、なくなるとそれは寂しいものです。内心は、ホッとしています。

 

 そうと決まれば、いろいろパーツも交換しちゃうよー!なんて勢いです。出費は増えますが、ウキウキした気分。

 

 免許を取ってから数十年、車のない時はありませんでした。一人で夜中に出て行ったり、二人で海に行ったり、子供と一緒に大型ショッピングモールに行ったり。特に、ぼくが住んでいた長野県のようなところでは、車は必需品です。

 

 都会に住んでいる今は、車を持つメリットはありません。むしろ、経費ばかりかかる邪魔なものです。それでも、車を手ばなせないのは、ただ、単純に「車が好きなんです」。

 

 古いとはいえ、頼りになる奴。ピカピカに磨いて街を走る時の気分は最高です。ぼくの車を見て振り返る人は皆無ですが、好きな音楽を聴いて、朝入れたうまいコーヒーを持って、なによりも、今となっては、ぼくの人生で唯一の「自由にタバコが吸える空間」です。

 

 東京に出てきて、喫煙場所に四苦八苦し、初めのころはそこしか知らなかったドトールコーヒー。そもそも、1本¥100の缶コーヒーを飲むことは愚かだ、というのが持論ですが、たばこ1本吸うためにコーヒー代の¥230かけているぼく自身は救いようのないバカだ。

 

 しかし、仮に1日10本をドトール10回換算したら、1にち¥2300、10日で¥23000。この、おバカな方程式で「やっぱ、車の方がいい!」と、明日に向かった素晴らしい結論を出す。さらには、部屋でちびちび飲む1本¥10000のテキーラも、コスパドトール越え。

 

 この素晴らしい世界に「サルー!」