17、18、KARUIZAWA

 夕方、環状8号線を谷原に向かう。ついこの前までは明るかったのに、この時間で、もうすでに暗い。関越道は、いつものように、練馬インターから所沢くらいまで、都心の車たちと併走する。上信道との分岐点まで来ると、車の量も減り、夜空の中に、山々の稜線の気配がする。僕はいつも「松井田・妙義」で高速を降ります。なんといっても、国道18号。松井田から碓井へと向かう道が、一番好きです。春夏秋冬、朝・昼・夜、季節、時間を問わず、いつも美しい。走っている車が、ダッジやシボレーだったら、ここはもうカナダ国境、VWアウディだったらアルプスだ、といわれてもわからないくらい、この道はすばらしい。高速を下りたら、まず、窓を開けます。

 

 そして、県境。松井田町のはずれ軽井沢町への入り口、碓氷峠。荷物が安定していないときはバイパスでくけれど、僕は、基本的には旧道派。タイヤを鳴らすわけでもなく、ごく普通の車で180近いカーブを走る。登る。旧道は、夜がいい。それは、ほとんど、通る車がいないのと、いたとしても、ヘッドライトの明かりで、すぐに対向車がわかるから。この道は、楽しい。たまに、野性との出会いもある。旧道でも、バイパスでも、一度、耳が「キーん」と。気圧の谷を越えて、山の香りも、もう一段、高くなる。FM軽井沢がよく聴き取れるようになると、軽井沢。元総理の別荘への入り口、今はない「ふるさと1億円で造った橋」のあった公園、を過ぎ、お米屋さんのある駅前の交差点、ここまでこると「帰ってきた」と、感じる。

 

 いつものひとに、会う。町を出てからも、僕たちは会う。地球は回っているけど、時間は止まっているようだ。車と胃袋は重くなり、財布は少し軽くなって、来た道を戻る。

 

 高崎、国道17号に向かう。時間があれば、行きもこの下道だ。旧道C=130あたりから、車がだんだん身体の一部になっていく。峠を下り、線路と竹林の間をすべる。このあたりから、FM群馬が調子いい。軽井沢を出て約1時間。空に向かったスロープに滑り込み、観音様の川岸、R17に入る。ここからは、もう、ナンバー以外は都会と同じで、烏川を渡るまでは右車線で行く。大きい工場を過ぎ、高架が見えてきたところで、左車線に入る。片側1車線の対面通行。高崎の並んだ達磨さんから30分ほどで、左手にあるホームセンター、ここが僕のいきつけだ。軽井沢に住んでいたころは、暮らしのルーティングになっていたカインズホーム。メモを取り出し、じっくりと買い物に集中する。さすがに何十年も買い続けていると、それなりに買い物もうまくなっていって、無駄な買い物はせずに、本当に必要なものをえらぶ目も肥えてきた。ここではいつもいいものが手にはいる。この店舗のいいところは、同系のスーパーが同じ店内に併設されているため、一度で買い物がすむ。先方の思い通り、食材などもついでに買う。東京までの車中で食べる軽食や飲料を買うのは、たのしみだ。

 

 ここからは、どこにも寄らず、家まで一直線。1車線が2車線、UFO基地を過ぎ、高架をくぐり、T字で合流する。上尾の公園を過ぎたら右車線、池袋・東京。道路は3車線になり、左・中車線で行く。進路を左にとり大宮バイパスを真ん中の車線で行く。右車線に入り、トンネルを4つくぐれば「笹目橋」

 

 こんな感じで、月1回ほど軽井沢を訪れています。走行距離、約300Km。この町での暮らしが始まったのは、’88年。今とはだいぶ違った軽井沢でしたが、約30年たって、それでも、変わらないところも多く、人を中心に、そんな軽井沢を尊敬しています。