大相撲がおもしろい!

 

 冬らしい寒く冷たい日が続き、公園の鳩もまんまるとふくれあがって、ぽぽっぽと鳴いています。

 

 初場所もいよいよ佳境に入り、優勝争いが徐々に絞られてきました。年二場所制になって以来初の平幕の二人がトップに立っているという状況。注目の炎鵬は、頭を使った相撲で上位陣との熱戦を繰り広げ、緊張しているという正代は、日に日に貫禄が出てきた。一方で大関貴景勝も意地の一番を続けている。

 

 何よりも、僕が感じているのは、両横綱が途中休場となり、大関、三役陣もいまひとつの場所。さらには大関復帰を目指している高安は復帰ならず、そして、今日、9回のカド番を乗り越えてきた豪栄道大関陥落が決まった。ふつうならば、盛り上がらない場所なのに、国技館は連日の満員御礼。

 

 北の富士舞の海の解説、そして、向こう正面の錣山親方、ハリウッドスターにも引けを取らないダンディズム。その解説にもキレがある。どうやら新旧交代を伴う潮目の変わり時が来たようだ。場内の観客たちはその歴史の立会人となり、土俵から目が離せない。

 

 良くも悪くも、若貴時代は相撲よりも、何かテレビもマスコミも巻き込んだ世の中のブームのようだったけれど、ここ数場所の相撲を見ていると、人々は相撲そのものを楽しんでいるように僕には見える。

 

 よくいえば「気合が入っている!」だけど、横綱の顔をやたらと張りまくる相撲や、なんだかもうゴロツキの喧嘩みたいな相撲。ガッツポーズをしたり、ボクシングの軽量前のにらみ合いまがいのことをしたり。きっと、みんなが見たかった相撲はこれではなかったのだと思うのです。

 

 力と技、技と力のぶつかり合い。厳しい稽古に堪え、命がけで戦う姿。きちっとした挨拶。下から上がってきた若い力士たちが力をつけてきて、どんどん上位を倒す。場内やテレビの前で見ている観客もまるで、自分が闘っているように力が入る。そこには「相撲」しかない。

 

 幕内の顔となりつつあった蒼国来。八百長問題で引退勧告処分とされ、土俵に立てなくなった。満額支給するといわれた退職金も受け取らず、部屋からも追い出された。友人宅を転々とし、それでもその間トレーニングを続けた。2013年、東京地裁による解雇無効判決を受け、約2年ぶりに復帰。その蒼国来が十両で相撲を取っている。さらに、大関から序二段まで落ちてしまった照ノ富士は、今場所での十両優勝を今にもつかみそうだ。この二人の力士による見事なまでの復活劇、心を揺さぶられずにはいられない。

 

 年明けから転職で、おそらくは小学生のころ以来の夕方の相撲観戦をしています。まるで価値のなくなったテレビの、一筋の光、肥溜めの鶴、連日の熱戦に心を奪われています。

 

 場所が始まるといつも思うことは「相撲が始まると、15日間があっという間に過ぎてしまう」ということ…。

 

 オヤジも、鳩も、「のこった、のこった!」